2023年4月4日 先日フナ釣りの例会で70cmオーバーの「ボラ」がかかりました。引きが恐ろしく強く、ハリスが切れてくれればいいのに、60cmと長めにとっていたので切れないで、かわりに竿が思いっきり折れました。その後、折れた竿先で何とか疲労困憊しているボラ君を無事釣りあげました。ただ・・・気に入っていた竿だったんだよな~~~。 5-ALA(ファイブ‐アラ)って何ぞや??? これは5-aminolevulinic acidの略語になります。日本語にすれば、5-アミノレブリン酸となります。この物質は8個集まるとポルフィリンとなり、鉄と結合してヘムになります。さらにこのヘムにグロビンが結合することでヘモグロビンになります。ヘモグロビンは赤血球の重要な構成因子になります。 これだけ読むと、さっぱりわからないと思います。 簡単にいえば「5-ALAはヘモグロビンの原料のひとつなり」ということです。 さらに小生が思っていることを超簡単に説明すると・・・ 「ヘモグロビンの原料である5-ALAを給与することで、子牛のヘモグロビン量の増加につながるのではないか?そして、このことが子牛の貧血に対して有効かもしれない」 実は新生子牛の赤血球というものは、成牛の赤血球とは違います。胎児期には最初に肝臓が造血機能を担い、その後、脾臓や骨髄などへ造血機能が移行していきます。成牛と新生子牛では赤血球の大きさや酸素運搬能力などが違います。新生子牛の赤血球の寿命は短いため、貧血になりやすい傾向があります。また、母乳の鉄分含量が少ないことも、鉄欠乏性貧血になりやすくしています。このような場合に、5-ALAを投与することで、ヘモグロビン合成を促進し、貧血の改善につながることが期待されているわけです。 実際に人医療の世界では、5-ALAを用いた貧血治療についていくつかの研究が行われています。腎臓病に伴う貧血患者に対して5-ALAを投与することで貧血症状の改善が見られたり、鉄欠乏性貧血患者に対して5-ALAを投与することでも貧血の改善が見られたりしたと報告されています。 どうやらなかなか決定打の少ない子牛の貧血の治療に5-ALAが使えそうな感じがしてきました。そこでいろいろ調べてみると、やはり子牛に対してこの5-ALAを給与して血液性状の変化を調べた報告がありました。 報告では生後2~4日齢からアミノレブリン酸製剤5g/日を60日間継続して投与した結果、子牛の栄養状態を向上させ、成長促進や貧血予防にも有効となることが示唆されています。 貧血の子牛に対して、シェパードでも治療の一環としてアミノレブリン酸製剤(ミトコンパワー:住友ファーマアニマルヘルス)使用することがあります。使ってみた感触としては、少し規定量よりも多めに投与したほうが効果は高いように思いました。臨床現場で使ってみた大体の感覚として、回復の程度の差はありますが5~6割程度の症例で改善した印象をもっています。貧血というなかなか決定打の少ない治療のひとつの手段としてアミノレブリン酸製剤を使ってみるのも面白いと思います。 また、アミノレブリン酸は実は「生命の根源物質」とも言われており、多くの論文が出されています。あくまでも貧血に対する効果は多くの有益な効能の中のひとつにすぎません。最近では新型コロナウイルスに対する増殖抑制効果も報告されています。続々といろいろな論文が出てきていますので、これからさらに有効活用されてくると思います。 前の記事 第724話:5-ALA(ファイブ-アラ)その1 | 次の記事 第726話:新たなる方向性の検討 |