2023年3月23日 先日採卵業務から戻ってくると、笹崎先生が妙なテンションになっていました。ひとり診療だったのでタダでさえ忙しいのに手術あり、遠方ありとかなり大変だったそうです。そして、極めつけは「ヤギの子宮脱」。死産であり、もう一頭が途中まで出ているとの稟告で向かうと、子ヤギではなく思いっきり子宮脱だったとのこと。ヤギの子宮脱は整復が大変で、整復時に絶叫して大騒ぎ。近所でお祭りがあり、太鼓の音と整復時に押し込む時に絶叫するヤギ鳴き声が徐々にシンクロしてきたとのこと。 太鼓「ど~~~~~ん」 笹﨑先生曰く「太鼓のリズムに乗って何とか整復しました~~ (^▽^)/」とのこと。 日々の診療を行っていると発育が悪い子牛に遭遇する機会が結構あります。何気なく外見を望診すると・・・ 1 被毛粗剛(ひもうそごう) 上記の臨床所見をファロー四徴症にちなんで、勝手に「ヒロシのヤバい子牛五徴症(ひろしのやばいこうしごちょうしょう)」と呼んでいます。ちなみに今この言葉をつくりました。 さらに小生は上記の5項目が診察で認められた場合「ヤバい子牛」認定をします。さらには、このような子牛が牧場内に多数いる場合は「ヤバい牧場」認定を心の中でします。 子牛がこのような症状の時にシェパードでは血液検査を実施することが多いのですが、結構な頻度である特徴的な血液検査結果が見られます。それは何かといいますと・・・ 「総コレステロールが低い」 これはわかりやすいといえばわかりやすいですね。哺乳期に小生はできるだけ総コレステロール値を下げない管理を実施するべきだと考えています。 もうひとつは「総蛋白が低い」 これもわかりやすいといえばわかりやすいですね。総コレステロールも総蛋白も子牛の栄養状態を表していると考えてよいと思います。これらの数値が低いということは、子牛が何かしらの原因で栄養不良に陥っていると判断できます。母牛の管理を含めた飼養管理失技かもしれませんし、病原性微生物の影響かもしれません。とにもかくにも、何かしらの原因で栄養不良の状態が続くことで先ほどあげた被毛粗剛、発育遅延、削痩、被毛失沢、脱毛などの外見上の変化が表れてくると考えています。 ただここでもうひとつ特徴的なことがあります。 「ヘマトクリット値、血色素量、赤血球数が低い」 つまり、貧血の所見がみられるということになります。 上記の身体的特徴(ヒロシのヤバい子牛五徴症)が認められる場合は、結構な確率で貧血を確認することができます。もちろん病気も繰り返します。 ただ・・・子牛の貧血は意外と対処が難しいのです。鉄剤を用いた貧血予防や輸血などの処置はあるのですが、これだけではパンチが弱い。あと少し貧血治療に武器が欲しい。そのような時に治療の一つの可能性として登場したのが5-ALA (ファイブ-アラ)になります。次回からこの5-ALA (ファイブ-アラ)について説明いたしますね! |