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戸田克樹のコラム
第387話「原因はそこじゃないかもしれない」

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2023年4月3日

シェパードにもめでたく侵入…いや、新入社員がやってきました。どうやら大学でのカリキュラムが私の記憶のそれとはかなり違う様子です。実習や試験も多く、結構たいへんな学生生活を送ってきた様子。お疲れさまでした!そして、私は昔のカリキュラムで本当によかったです!!!!(笑)

大学では動物の病気やその治療法、あるいは予防法を勉強します。教科書にもそのために必要なたくさんの薬剤名がズラズラと並んでいます。教科書に網羅されていることは必要な知識ですし、大切なことはたくさん書いてあります。いまだに教科書にお世話になることも多いです。しかし、現場では遭遇する病気の原因は、病原体によるものだけではないことに注意が必要です。病気は薬で治る(病原体が原因で病気になる)、と思ってしまうと危険なのです。

 ミルクが冷たくて下痢
 配合飼料あげすぎてアシドーシス
 敷料が薄いためにスリップして起立不能
 分娩前の増飼いがないために虚弱子牛が生まれた
 
などなど、いわゆる「管理失技」によって発生する病気が意外に多いからです。

こちらが当たり前にやっていると思っていることが適正に行われていないこともあります。そうしたことを知っていないと、治療にばかり意識がいってしまい、本当の原因を見つけられずに牛の状態がよくならず、頭を抱えてしまうこともあります。なぜこんなに治療しているのによくならないのだ(泣)…と。

病気の知識も治療法もとても大事です。そして、それと同時に病気をもたらしてしまう人的要因や環境要因にも意識を向けることも大切です。ほんと、獣医療は奥が深いですね。

 
 
 
 
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