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藤﨑ひな子のコラム
安定した留置針挿入①

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2023年3月24日

 桜の開花宣言もあり、なかにはもう葉桜になっているものもありますね。今週、来週あたりまでが桜の見ごろでしょうか。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 シェパードでは治療の際に輸血や点滴をすることがあります。その際に留置針を使用します。大きい牛だと頸静脈も太く入りやすいのですが、生後間もない子牛では血管が細く困難になることがあります。私自身も入社して1年がたとうとしていますが、なかなかうまくいかず恥ずかしながら応援を呼ぶことがありました。その反省をこれから生かすためにも、安定した留置針の挿入について今回から複数回にわたってお話ししたいと思います。

 まず留置針を挿入する前に点滴をする環境づくりが大切です。むしろ、ここをしっかりと行っていなければ留置針の挿入が難儀するのです。牛は様々な環境で飼われています。ハッチ、スタンチョン、マス飼い、繋ぎなどなど。その環境のなかで作業者がジタバタするのではなく、一度留置針の挿入に適正な環境に持っていくことが大切です。ハッチを例に挙げてみますと、ハッチは子牛一頭には十分なスペースですが、その中に大人一人が入り、あれこれと作業するには狭いスペースです。ですから一旦子牛をハッチからだし、作業しやすい広いスペースのところに移動させると良いと思います。実際私はハッチの狭い中で視界不良の中ジタバタと作業しており、難儀していました。ハッチから子牛をだし、床に飼料用の袋を敷いて子牛を寝かせるのもいいかもしれません。マス飼いなどで同居牛がいるときも同様に少々環境を変える方がいいと思います。同居牛が少ないときは、同居牛を少し離れた場所に軽く保定したり、罹患牛もしくは同居牛を隔離したりすると作業中に同居牛に邪魔されることなくより安定した作業を行えます。また輸液実施時に同居牛からチューブや針などの道具にいたずらされることもありません。隣のマスにも牛がいる場合には、そこにも気をつけて隣のマスの牛にいたずらをされないようなところに移動させることも大事です。

 次回も留置針を入れる前の環境についてお話しします。
 
 
 
 
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