(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第385話「どんなときに検査するの?~直腸検査編~」

コラム一覧に戻る

2023年3月20日

前回は血液検査をどんなときに行うかについて書いていきました。異常値が確認された場合は、治療によって数値が改善したかどうかを確認するために再度血液検査を行うこともあります。たいていは処置後1週間くらい経ってから行います。あまり間隔をあけると、処置が適切でなかった場合に牛の状態がどんどん悪くなってしまいますし、再検査までの期間があまりに短いと結果が出ていないこともありますので7日~10日程度がひとつの目安かな、と考えています。

さて、今回は直腸検査を行うべきポイントを紹介します。
直腸検査といっても、ビニール手袋を装着し、ローションなどの潤滑剤をしっかりとつけて、牛の肛門から手を入れだけの検査です。
※検査時に牛に余計な痛みを感じさせたり、直腸粘膜を傷つけたりしないためにも検査前にせっけんやローションなどをしっかりとつけてあげてください。

さて、直腸検査で何が分かるのか

分かることその①直腸周囲の脂肪壊死塊の有無
大きな脂肪壊死塊ができていると、直腸の直径が狭まるため手が奥まで入りきらなかったり、手を入れた先に脂肪壊死塊に触れたりすることができます。

分かることその②膀胱の膨満度
尿石症で排尿障害が起こっていると、膀胱にどんどんと尿が溜まるため、ありえないくらい大きくなっていることが分かります。手を入れてすぐに巨大な膀胱に触るとき私たちは「あ…オペか…」と冷や汗をかきながら覚悟を決めます。少し大きくても、押したらちゃんと凹んでくれると「今日は内科的療法でせめてみようか」と治療方針が変わることもあります。

つづく
 
 
 
 
今週の動画
肥育牛の突然死 その原因とは?

|