(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
戸田克樹のコラム
第384話「どんなときに検査するの?~血液検査編~」

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2023年3月6日

検査は大事です!シェパードでは検査を大事にします!と、声高に叫ぶことはありませんが(笑)、私たちの診療所では検査というものが頻繁に行われています。身近なものでは血液検査がありますが、他にもBL(牛伝染性リンパ腫)やBVD(牛粘膜性下痢症)、ヨーネ病の検査を行うこともあります。田舎の小さな診療所の割に、検査体制は割と充実しています。やりおるな、シェパード…。

さて、検査の目的はただひとつ。「シロクロはっきりつけましょう」という1点につきます。なぜ検査が大事なのかというと、「よく分からない」ままにしておいてはいけないからです。逆に言えば、様子のおかしい牛に対して、肺炎や腸炎といった診断がきちんとついていれば検査は必要ないということになります。診療の現場では触診や聴診といった一般的な診察内容(これもある意味検査のひとつですね)で原因がよく分からないことがあります。診断をつけなければ治療はできません。ここで、検査を行う必要がでてくるのです。

体温は平熱で便も良好。聴診上の異常もない。なのに食欲が落ちていて元気がない…。

実際にこうしたケースは診療の現場ではよくあります。この時点では「原因不明」となってしまいますよね。でも、治療のためにも診断はつけたい!ということで血液検査の出番です。それによって、肝数値や腎数値が上がっていることが分かったり、白血球数の異常な上昇という形でBL発症の可能性があることが分かったり、ビタミンAやカルシウム欠乏症などの欠乏症であることが分かったりします。臨床症状からは「推測」はできても断定はできない病名が、検査で数値を把握することで病名を「確定」できるようになります。診断をつけるために、血液検査は非常に重要な手段のひとつなのです。

 
 
 
 
今週の動画
【BL!】伝染性リンパ腫かと思ったら・・・

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