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加地永理奈のコラム
γ-GTPが高い子牛にリカバリーMの効果

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2023年3月8日

前回のコラムでご紹介した子牛の経過について続報です。
血液検査の結果から膵炎があると考え、炎症を抑えるためにデキサメサゾンを減らしながら抗生物質とともに3日間、添加剤のリカバリーM 20gを7日間与えたところでもう一度採血し、経過観察のための血液検査をおこないました。

肝臓の指標であり、特に胆管の異常を知らせる数値であるγ-GTPは423 U/Lと、前回の半分まで落ちていました。そして同じく肝臓の指標となるASTは80 U/Lと基準値内におさまっていました。今は下痢もなくミルク飲みも回復して、他の子牛と一緒に元気にしているようです。
膵炎の診断でもう一つみる値の血清アミラーゼは141 U/Lと、変わらないというか少し上がっていました。ただこの数値は、食事の影響も受け、個体差も大きく、必ずしも膵臓の障害の程度を反映していないことがあります。この子牛の場合は、ミルク飲みがあがったという状況が数値に出たのかなと考えています。また上昇したアミラーゼの数値は下がるにも一か月程かかること、基準値を大幅に超えて推移しているわけではないこと、等を考慮して、このまま様子を見ることにしました。

肝臓の指標の数値が下がったのは、リカバリーMの効果でしょうか。食欲不振の症状を持つ子に対するリカバリーMの効果を実感できました。リカバリーMは肝機能のサポートをしてくれるビタミンB群やビタミンE、タウリンなどが入っていて、肝臓をはじめ全身の細胞にエネルギーを回せます。水を含ませると団子にして口に入れられますし、ミルクにも混ぜて与えることができるので、子牛にも給与できます。
ただγ-GTPの値は30以下に下がることが目標なので、このまま膵臓の細胞の回復のためにあと10日間継続でリカバリーMを与えてもらうことにしました。この調子で元気に出荷までいってほしいです!

 
 
 
 
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