(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第722話:データ・サイエンス

コラム一覧に戻る

2023年3月7日

小生は仕事柄本当に多くのデータを見ます。特に物事を進めるにあたってはこのデータというものを非常に重要視します。いろいろな事に挑戦し、その結果をデータとして分析する。実は科学の世界では当たり前のことかもしれませんが、なかなか現場では出来ていないことが多いように思います。いわゆるPDCAサイクルを回すにおいても、必ずデータというものが重要になってきます。
そのような観点から、シェパードでは毎日何かしらのデータをスタッフで話し合っているといっても過言ではありません。いくらでも現場からデータは得ることができます。体温や血液検査結果なども立派なデータです。

「確たるデータが添えられていないのであれば、それはただの意見。ファクトとオピニオンは分離する必要がある」と言われています。非常に重要なことだと思います。

どうしても小生は現場の臨床獣医師なので、経験に重きを置きがちになってしまいます。だからこそ、「このようなデータが出たから、今回はカクカクシカジカのようにしてみようと思う」とか「この論文でこのようなデータが出ているから、この方法を行っている」などまだまだ不完全ですが、いつもデータをもとに話をして、方向性を決めていくということに注意して取り組んでいます。

数字で結果がでることで、思っていたこととは違う結果になることがあります。うまくいかないこともあります。このような時こそ大きなチャンスだと思っています。
ただ、うまくいかなかった時こそ、データ・サイエンスの重要性が増すのに、現実の社会では多くの不都合なデータが隠蔽されてしまっています。データ自体も改ざんされていたり、意図的に調節されていたりする事例もあります。

データ・サイエンスは資源のない日本の技術立国としての最重要ポイントだと思っています。だからこそ、このデータ・サイエンスを行う人間のプロとしての矜持が問われているようにも思います。データ・サイエンスを意識して取り組んでいくにあたっては、「わたくし達は限定合理的判断しかできない」という謙虚な心と、自分の中の小さなエゴにとらわれて「曲学阿世の徒」にならないようにしなければいけないといつも思っています。データ・サイエンス、ビッグデータ解析、EBMが大切であると言われることが多いですが、実は一番大切なことはこれらのデータを扱う人間の「心」のような気がしています。小生もまだまだ修行を頑張らなくてはいけません。
 
 
 
 
今週の動画
【BL!】伝染性リンパ腫かと思ったら・・・

|