2023年2月24日 寒暖差の激しい今日この頃、まさに三寒四温という言葉にぴったりですね。春が近づいてくるのを感じます。皆様いかがお過ごしでしょうか。 今回から数回にわたってお産のトラブルの時に使用する薬についてお話ししたいと思います。シェパードでは頸管拡張不全でホーリンを、失位整復や帝王切開の術前処置でプラニパートを使用します。今回はホーリンについてお話ししたいと思います。 その前にホーリンが効くお産の時の子宮頸管についてお話しします。分娩の経過は胎子が産まれるのを準備する開口期、胎子が産まれでる産出期、胎子が産まれた後の後産期の3つに分かれます。開口期に子宮から膣までの道で、胎子の通り道である子宮頸管が胎子を通過させるために拡がります。この子宮頸管はコラーゲン繊維を多く含みます。分娩が近づくと子宮頸管のコラーゲン繊維がバラバラに解離することで、子宮頸管は緩み広がるのです。このコラーゲン繊維が解離するときに、卵胞ホルモンであるエストロジェン、黄体から分泌されるリラキシン、子宮内膜等から産生されるプロストグランジンなどのホルモンや様々な物質が関わっています。 頸管拡張不全とはお産の時に頸管が十分に拡がらない状態です。お産の開口期におけるホルモン分泌の異常や胎包の子宮頸管への侵入の遅れによって子宮頸管への物理的な刺激の不足などが原因となっておきます。 お産の時に子宮頸管の開きがイマイチだなと判断したら、物理的刺激でもある産道マッサージを行うのですが、その時に補助的にホーリンを投与します。ホーリンの主成分はエストロジェンの1種であるエストリオールで、子宮頸管に作用しコラーゲン繊維の解離を促進したり子宮頸管の粘液分泌を高めたりします。そのように作用することで、子宮頸管を拡げ、難儀になっていたお産を補助してくれるのです。 次回はプラニパートについてお話しします。 前の記事 クレアチニン② | 次の記事 お産トラブル時の薬~プラニパート編①~ |