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藤﨑ひな子のコラム
クレアチニン②

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2023年2月17日

 今週の14,15日は獣医師国家試験の実施日でした。受験生の皆様お疲れさまでした。引っ越しの準備など、これから忙しいとは思いますが、少しばかりゆっくりしてください。本当にお疲れさまでした。

 前回のコラムではクレアチニンがどのように出来上がるのかをお話ししました。肝臓でクレアチニンのもととなるクレアチン・・・・・が作られ、筋肉で代謝されクレアチニンとなり、尿中に排泄されることをお話ししました。またクレアチニン値が低い状態についてもお話ししました。
 今回はクレアチニン値が高い状態についてお話ししたいと思います。
 クレアチニンは血液中の老廃物ですので最終的に尿として排出されます。尿は腎臓で血液中の老廃物や塩分を濾過して作られます。ここで腎臓に異常がある場合、クレアチニンが濾過されずそのまま血液中に残ります。こうして腎臓が悪いと血液中のクレアチニンが高値になるのです。
 血液検査でのクレアチニン値ですが、血液中の濃度として示されます。ですので、脱水状態の時は血液の液体成分が少なくなるのでクレアチニン値が高くなります。また脱水時は尿の量も少なくなるため、捨てられるクレアチニンが減ります。血液にクレアチニンが残るため、検査値が上がるのです。
 クレアチニンが最終的に筋肉で産生されることをお話ししました。筋肉量が多いと産生されるクレアチニンが多くなるため、クレアチニン値が上がります。ですので、若齢牛や高齢牛に比べて筋肉量の多い肥育牛はクレアチニン値が高くなるのです。

 まとめますと、クレアチニン値が高くでた場合は腎臓病、脱水、肥育牛かどうかを考えます。実際にはクレアチニン単体で考えるのではなく、BUNやヘマトクリット値など他の血液検査項目と一緒に考えます。こうして血液検査の結果から牛の状態を考えるのです。

 
 
 
 
今週の動画
ナックル子牛 副木固定にチャレンジ

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