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                クレアチニン① | 
               
             
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               2023年2月10日 
               一昨日、さつま町からの帰りに梅が咲いているのを見かけました。いつの間にか春も近づいてきているのですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。 
 さて今回はクレアチニンについてお話ししたいと思います。血液検査時にBUNとともに腎数値のマーカーとして利用されるものですが、その正体についてお話しします。 
 クレアチニンを簡単に説明すると、筋肉を収縮した後に出る老廃物(代謝産物)です。クレアチニンの作り方は、まずタンパク質の原料であるアミノ酸からクレアチンが肝臓で作られます。ややこしいですがクレアチニンではなくクレアチンです。クレアチンは血液に乗って筋肉に運ばれます。筋肉に運ばれたクレアチンはリン酸と結合してクレアチンリン酸となります。クレアチンリン酸は分解されると、ATP産生に関与します。筋肉の収縮はATPを利用するので、クレアチンリン酸はエネルギーの保管庫というイメージですね。筋肉内で分解されたクレアチンリン酸から水がぬかれてクレアチニンが産生されます。クレアチニンは血液に乗って腎臓まで運ばれ、不要なものなので腎臓で血液が濾過され(糸球体濾過)、尿として排出されます。これがクレアチニン産生から排出までの流れです。 
 では血液中のクレアチニン値が低いとはどのような状態でしょうか?クレアチニンの原料となるクレアチンが肝臓で産生されることをお話ししました。ですから肝臓に異常があると原料であるクレアチンが産生されにくいため、血液中のクレアチニン値が下がります。またクレアチニンは最終的に筋肉で産生されるため、筋肉量の少ない若齢時や高齢時にクレアチニン値が低く示されます。また牛では報告が少ないのですが、尿を多量に排出する尿崩症でもクレアチニン値は低くなります。 
 次回はクレアチニン値が高値になる状態についてお話しします。 
  
  
  
  
  今週の動画 
Anatomy of the cattle’s lung. 子牛の肺の解剖 
 
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