 |
βーラクタム系③ |
コラム一覧に戻る
2023年2月3日
今週の大寒波は凄まじいものがありましたね。南の端の鹿児島でも吹雪が発生し、前が見えないくらいでした。皆様、安全にお過ごしください。
今回はβラクタム系のセフェム系についてお話ししたいと思います。
セフェム系の作用部位はペニシリン系と同様、細胞壁にあるペニシリン結合タンパク質(PBP)です。PBPといっても、微生物ごとに様々な種類のPBPをもっており、微生物の種類が異なると、もっているPBPの種類が異なることもあります。セフェム系は腸球菌のPBPに対して親和性が低いので、腸球菌による感染症の治療薬としては有効性が低いのです。
セフェム系には第1世代セフェム系、第2世代セフェム系、第3世代セフェム系、および第4世代セフェム系の4種類があります。新しく開発されるにつれて世代数は大きくなります。ここで細菌の構造についておさらいですが、グラム陰性菌と比較してグラム陽性菌の細胞壁はペプチドグリカン層が厚いため、βラクタム系はグラム陽性菌(特に球菌)に抗菌活性を示しやすいことを以前お話ししました。そのためグラム陰性菌に対する抗菌活性が低いのです。しかしセフェム系は世代が新しくなるにつれ、グラム陰性菌のカバーが改善されていきました。しかしその反面、グラム陽性菌のカバーに対しては世代が新しくなるにつれ、低下していきました。第4世代セフェム系は第1世代と第3世代の長所をあわせもつ特徴があります。
シェパードで使用しているセファゾリン注はグラム陽性球菌のブドウ球菌、連鎖球菌やグラム陰性菌のパスツレラ、大腸菌、サルモネラ、クレブシエラに有効です。適応症としては細菌性肺炎、乳房炎、産褥熱などがあげられます。
エクセネル注は第3世代セフェム系で、グラム陰性菌に対する抗菌スペクトルが広い抗菌剤です。グラム陰性菌のフソバクテリウム・ネクロフォーラムをカバーするため、趾間フレグモーネ(趾間ふらん)という蹄病に有効です。
コバクタンはセフキノム硫酸塩を含む第4世代セフェム系です。特に肺炎に有効です。

セフェム系
今週の動画
【診察】感覚を駆使した診察とは~嗅覚編~
前の記事 βーラクタム系② | 次の記事 クレアチニン① |