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藤﨑ひな子のコラム
βーラクタム系②

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2023年1月20日

 先週お休みをいただき、姶良の映画館で「THE FIRST SLAM DUNK」を見てきました。見終わった後の満足度は非常に高いものでした。2月中旬くらいまで公開しているそうなので、気になる方はぜひご覧ください。

 前回に引き続き、βラクタム系についてお話ししたいと思います。βラクタム系は抗菌薬の1種で細菌の細胞壁をターゲットに殺菌作用を示すことをお話ししました。また、グラム陽性菌とグラム陰性菌の細胞壁の違いについてもお話ししました。
 今回のコラムではβラクタム系の種類について、実際にシェパードで使っている薬品を例に挙げながらお話ししたいと思います。いくつかの種類に分類されますが、ペニシリン系とセフェム系にわけてお話しします。


βラクタム系

 1)ペニシリン系
 細菌の細胞壁合成阻害薬で、殺菌的に作用します。水様性が高く脂溶性が低いため、細胞壁がペプチドグリカン中心であるグラム陽性菌には高い有効性を示しますが、リン脂質やLPSに囲まれているグラム陰性菌には有効性が低いのです。毒性は極めて低いのですが、ショックを引き起こすウシもたまにいます。さらに分類しますと、古典的ペニシリン、ペニシリナーゼ耐性ペニシリン、アミノペニシリンなどに分けられます。今回は古典的ペニシリンとアミノペニシリンについてお話しします。
 ①古典的ペニシリン
 筋注の懸濁水性プロカインペニシリンGや結晶ペニシリンがこれにあたります。耐性化されてない感受性のあるブドウ球菌や連鎖球菌などのグラム陽性菌に対して有効性を示します。筋注の懸濁水性プロカインペニシリンGは懸濁性のため吸収が遅く、半減期が長くなります。

 ②アミノペニシリン
 アンピシリンNa注やインタゲンがこれにあたります。古典的ペニシリンはグラム陽性・陰性の球菌がターゲットとなっていましたが、アミノペニシリンはグラム陰性桿菌である腸内細菌のカバーができるようになりました。アンピシリンは腸球菌の第一選択薬で、感受性があれば中耳炎、副鼻腔炎、肺炎もカバーできます。

 セフェム系については次回お話ししたいと思います。

 
 
 
 
今週の動画
敷料交換 ~ちょっとだけ注意してほしい点~

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