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生産性を阻害する要因(病気)を抑える(8-1) |
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2012年4月23日
- 第8章 下痢について考える その1-

さて、今回からはとてもポピュラーな病気、「下痢」について一緒に考えてみたいと思います。まず今回は、下痢という症状の総論をお話ししましょう。
下痢というと「腸炎」という考え方をしがちですが、「下痢」というのは様々な病気の症状の一つであり、すべてが腸炎というわけではありません。
たとえば、肝臓を壊したときの症状の中にも下痢は出てきますし、特に黄色みの強い下痢では必ず肝臓の異常も検査します。
それから肥育牛では、脂肪壊死の末期症状としても下痢が出ることは有名ですよね。下痢をして不自然に痩せていて、目が引っ込んで見えるような場合(眼窩の脂肪が減るために、その分目が落ちくぼんだようになります)は、必ず直腸検査や系統・飼料の内容などの聞き取りを実施して脂肪壊死がないか診断します。
それから尿石症などで血液中の尿毒(BUN)が上昇したときにも特徴的な粘液下痢が出ます(写真)。
脂肪壊死や尿石症を見落として、腸炎の処置をしてしまうと、薬剤の出荷規制などの問題で、牛さんを食肉工場に出荷することも出来なくなってしまいますから注意しましょう。このように、下痢というのはいろんな病気で起こるのだということを、まず頭に入れておきましょう。
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