(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
生産性を阻害する要因(病気)を抑える(7−17)

コラム一覧に戻る

2012年4月16日

- 第7章 ワクチン実施上の注意 その17 -
肥育素牛導入時の予防対策(その6:再度、ミコチルのお話)

 ミコチルのお話は、これまでも何度かしてきましたが、しつこくもう一回おつきあいください。
 ワクチンを打っても免疫が上昇するまでに2~3週間かかるので、肥育導入期は肺炎が防ぎにくいイヤな時期です。しかも、群編成ストレス等も重なり、導入牛にとっては大変危険な時期でもあります。
 僕は、コンサル先の農場では、必ずミコチルの導入時注射(ウェルカムショット)をやってもらっています。導入時の肺炎防止に、大変大きな威力を発揮するのですが、正しく使わないと効果が半減したり、耐性菌を作ってしまったりします。

 ミコチルは、抗生物質の中では特殊なもので、バイ菌をやっつける力は取り立てて強いわけではありませんが、肺炎の悪化を防ぐ働きを持っている稀有な抗生物質で、しかもその働きが一週間程度続くのです。
 1つは、アポトーシスの誘導と言って、バイ菌を食べた白血球が破裂してバイ菌を撒き散らすのを防いでくれます。
 もう1つは、免疫の暴走を防いで、肺の炎症が過度に進むのを防いでくれるのです。
 抗菌力を期待して使うものではなく、あくまでも予防薬として使うことに意味があるのです。
 よく、「ミコチルを最初に使うと他の抗生物質が効かなくなる」という話を耳にしますが、まったくのデマです。安心して使ってみてください。

|