2023年1月23日 月齢が若い場合は除きますが、肥育牛でも繁殖母牛でも、直腸検査をする機会は多いです。 直腸検査をしてみると、体調の悪い原因がはっきりと分かることがあります。非常に大きな脂肪壊死塊があったり(写真①)、腸粘膜がボロボロで易出血性になっていたり(写真②)、尿石症で膀胱がパンパンに膨れていたり(写真③)、牛伝染性リンパ腫(旧名:牛白血病)の発症によって腹腔内リンパ節が腫大していたり、といったさまざまな異常が直腸検査で分かります。逆に考えると、そうしたことは直腸に手を入れないと分かりません。妊娠鑑定や卵巣所見を確認する際にも直腸検査を行いますが、「分娩予定日を過ぎても生まない」という稟告を受けたときも直腸検査を行います。胎子がどのくらい子宮頸管に近づいてきているか、頸管は開き始めているか、子牛のバイタルは良好か、子牛の大きさはどのくらいか、といった様々な情報を得ることができます。まさかの「妊娠していなかった!(鑑定後に流産していたのにそのまま気づかれなかった)」なんてケースもありますので、確認は非常に重要です。 直腸検査といっても、薄いビニール手袋をつけて直腸に手を入れるだけで行える検査方法です。慣れないうちは何がそこにあるのかまったく分かりませんが、感覚がつかめれば直腸検査で得られる情報は非常に多いです。やらない日はないのでは?というくらい、実施頻度が高い検査のひとつです。 |