(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第716話:特定重要物質

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2023年1月10日

クリスマス、年末、正月。あっという間に過ぎ去りました。
まさに「光陰矢の如し」なり・・・・

昨年の12月20日、政府は経済安全保障推進法に基づき、安定供給を確保する「特定重要物質」を11分野指定しました。ではこの11の物資とは何ぞや?と思い見てみますと・・・

1. 抗菌性物質製剤
2. 肥料
3. 永久磁石
4. 工作機械及び産業用ロボット
5. 航空機の部品
6. 半導体素子及び集積回路
7. 蓄電池
8. インターネットその他の高度情報通信ネットワークを通じて電子計算機を他人の情報処理の用に供するシステムに用いるプログラム
9. 可燃性天然ガス
10. 金属鉱産物
11. 船舶の部品

以上の11分野になります。
しみじみと眺めてみて、確かに非常に重要なものであると思いました。実際に田舎の家畜診療所でもこの1年半ほどの間に様々な影響がありました。

例えば半導体。エコーなどの電子機器を購入しようとしたら、とにかく納期が滅茶苦茶長く、びっくりしました。何とか購入できましたが、本当に買えるのか心配になりました。車や電化製品など納期未定がザラにあるようです。

抗菌性物質製剤では一部のβラクタム系抗生物質が買えなくなってしまいました。抗菌薬以外でも、多くの薬品が欠品や製造中止となっています。本当に数年前には考えられない事です。

肥料は値段が爆上がり。国内農業への影響はかなり大きくなりそうです。世界的にも大きな影響がでているようで、飼料や粗飼料価格だけでなく食品価格にも今後影響がかなりでてくると思います。

これらの11物質は政府が「国民の生存に必要不可欠なもしくは広く国民生活もしくは経済活動が依拠している重要な物質又はその生産に必要な原材料等」と定義しているように非常に重要なものになります。今後様々な対応がとられていきますが、基本は「供給網の強靭化」と「依存低減」の二正面作戦になります。

では、小生のような田舎鼻糞獣医師は何ができるのか??

「供給網の強靭化」には全く小生は役に立ちません。できるのは「依存低減」になります。
となると、小生が一番力を入れていくのは牧場の疾病を減らし、抗菌薬の使用量を減らすことになります。飼養衛生管理の向上を、農家さんと一緒に地道に取り組んでいく事です。まだまだ難しい問題は山積していますが、粘り強く取り組んでいくことで疾病はコントロールすることができると確信しています。

小生、今年もおそらく眩暈のするようなことや、心が折れそうになることがあるかと思いますが、利他の心をもって粛々とやるべきことをやっていきます。本年も何卒よろしくお願いいたします。

 
 
 
 
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