(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤﨑ひな子のコラム
脱水②

コラム一覧に戻る

2022年12月23日

 寒さが厳しくなり、鹿児島県でも地域によっては雪が積もるまでになってきました。皆様、自身の安全を第一にお過ごしください。

 今回は、前回に引き続き脱水についてお話ししようと思います。前回は高張性脱水についてお話ししました。高張性脱水は、ウシにおいては比較的軽度な脱水で細胞外液の水分のみが消失し、高ナトリウム血症を引き起こすこともあるとお話ししました。
 今回は低張性脱水についてお話しします。低張性脱水とは、水分よりも主にナトリウム(Na+)が消失する脱水のことです。細胞外液のNa+濃度が正常時よりも低くなるため、細胞外から細胞内に水が移動し、細胞外液である血漿(血液の液体成分)や間質液の水分量が減り、脱水となります。また細胞内の水分が増えるため、細胞内浮腫の状態になります。ですので、低Na+血症の症状を呈することもあります。低張性脱水を引き起こす原因としては、サルモネラ症があります。サルモネラ菌によって引き起こされる下痢を特徴とする感染症で、サルモネラ菌の血清型によっては届出伝染病にも指定されています。
 低張性脱水の症状は脱水症状と低Na+血症の症状です。脱水症状は前回お話したように、低血圧による頻脈、皮膚の張りの減少、眼球陥没です。これに加えて、低Na+血症では、脳の神経細胞が浮腫し、脳浮腫の状態となります。神経伝達等に障害が生じ、神経症状を呈します。また、ヒトにおいては脳浮腫によって、頭蓋内圧が上昇し、頭痛、悪心、嘔吐を引き起こします。
次回は等張性脱水についてお話しします。
 
 
 
 
今週の動画
子牛のナックルについて

|