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藤﨑ひな子のコラム
脱水①

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2022年12月16日

 肌の乾燥と引き換えに車の窓の結露が最近ひどいですね~。皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 今回は脱水についてお話ししようと思います。
 脱水とは体液中の水分、もっと言うと細胞外液の水分が失われることです。前々回のコラムで、細胞外液とは間質液や血漿および細胞通過液を指すことをお話ししました。また、細胞外にはナトリウムイオン(Na+)が細胞内に比べて多く存在することもお話ししました。その細胞外液のNa+の消失の程度によって、脱水は大きく3つに分けられます。
 1つ目は高張性脱水です。主に水分が消失し、Na+はほとんど消失されない脱水のことです。水欠乏性脱水とも呼ばれます。この体液の水分が失われる原因には、水分の摂取不足や発汗(ウシはヒトの約5分の1の発汗量といわれていますので、ウシでは大きな原因とはなりません)などがあります。細胞外液の水分が失われることで、正常時よりも細胞外液のNa+濃度が濃くなります。ですので、脱水症状にくわえて高Na+血症の症状が現れることもあるそうです。ウシにおいては軽度の脱水に区分されます。
 主な脱水症状として、血液量が低下するので低血圧になり、少ない血液を体中に巡らそうと心臓が頑張るため頻脈を起こします。また体液が消失しますので皮膚の張りが低下し(年をとると肌の張りがなくなりといいますよね。。。)、皮膚を引っ張ると元に戻る時間がかかります。目の周りの水分も消失しますので、目が陥没したように見えます。
 高なNa+血症の臨床症状として、口渇感や脳の神経細胞の細胞内の水分が細胞外へ高濃度のNa+によって引っ張られているため、神経細胞が委縮し、意識朦朧になることがあります。また、筋肉のひきつり・痙攣があげられます。
 次回は低張性脱水についてお話しします。

 
 
 
 
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