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笹崎直哉のコラム
子牛の診察~検温前に必ずやること~

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2022年11月29日

私は子牛を診察する際、検温前に必ず実施していることがあります。それは胸部と臍部の触診です。胸部の触診は特に肋骨の状態を意識して行います。稀に肋骨が変形しており背線から腹底部にかけて触診すると肋骨が左右不対称になっているなんてことがあります。
こんなとき、私は肋骨骨折を疑います。

もし肋骨骨折だった場合、咳や呼吸促迫などの呼吸器症状を伴っているケースが多いです。稀に無症状な牛さんもいます。
では肋骨骨折はどんなときに起こるのでしょう。発生のほとんどが「分娩時」です。
主な原因は胎子がお母さん牛の産道を通過する際に胸部を圧迫されることです。助産時、胎子のサイズとお母さん牛の骨盤のサイズが不均一だった場合、無理な牽引により胎子の胸部を圧迫させないように注意しなければなりません。
肋骨骨折は重症であった場合胸部組織、特に肺に損傷を与えてしまうことがあります。
こうなると予後不良となるケースがありますので、助産時に胎子を牽引するときは「無理な牽引ではないか」とよく確認しつつ、慎重に行なっていきましょう。

 
 
 
 
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