2022年11月21日 いろいろな病気がありますが、元気になってもらうためにそのたびに注射を打つ機会がやってきます。投薬内容は「シンプル」に限ります。たくさん投与すればそれだけ元気になってくれるわけではないですし、発熱時は抗生剤だけの投与でも症状がよくなるケースだってあります。ただ、実際は2種類以上の薬剤を使う機会も多いですよね。 そんなとき、「薬を混ぜて1本の注射で済ましてしまおう」という思いに駆られますよね。私も何度も経験しています(笑)。いくつかの薬剤は混ぜても問題ないのですが、中には混ざった瞬間にとてつもない「にごり」が発生する薬剤もあります(写真①、②)。もしにごった場合は、絶対に注射してはいけません。筋注や皮下注の際はその後、注射部に激しい硬結感や疼痛を生じる可能性が高いですし、場合によってはしばらくたって化膿するかもしれません。濁ったまま静注をしてしまえば、肺や脳の毛細血管で詰まってしまって肺出血や梗塞などの循環障害を引き起こす危険性もあります。薬剤の値段はもったいないですが、牛の命を考えれば安いものです。もし薬剤を混ぜて濁ってしまった場合は投与を中止し、薬液は廃棄してください。 濁りやすい薬剤はそんなにたくさんあるわけではないので、もし濁るような組み合わせを発見した際は必ずほかのスタッフにも連絡し、注意を促してください。また、そうした薬剤は筋注の場合は右肩部と左肩部にそれぞれ別々に注射したり、静注の場合はサフィードチューブ(写真③、④)を利用して薬剤を別々に注入したりするようにしてください。なお、サフィードチューブ内で薬液が混ざり合わないよう、2本目以降の薬剤を入れる際は血液を吸ったり注入したりを2~3回繰り返してチューブ内の薬剤をある程度「血液で洗って」から入れると混ざる心配がありません。
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