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戸田克樹のコラム
第374話「やらないことを決める、とは?」

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2022年11月7日

コストの上昇を受け、これまで実施していた添加剤の種類や量を見直したいという相談が寄せられる機会が増えました。コストだけでなく、慢性的な人材不足から少しでも作業量を減らしたい、という思いもその裏に隠れているケースも少なくありません。

畜産業に限った話ではありませんが、仕事には終わりがありません。やりたいこと、やったほうがいいこと、やらないといけないことはいくらでもあります。そして、それらをすべてやるほどの時間も実際はありませんし、明日も明後日も仕事ですから、休憩や休日もとらなければいけません。圧倒的に時間が足りないのです。一体、どうすればよいのでしょうか。

もしかしたら、「やらないことを決める」ことも大切なのかもしれません。「やった方がよいこと」はおそらく挙げればキリがありません。すべてをやろうと思うと、丸一日あっても足りないかもしれません。でも、やらなくてもそこまで影響がない作業や牛に与えなくてもよいものを省いていくと、十分な休憩時間の確保だけでなく、コストの抑制にもつながるかもしれません。こうした「やらなくても差し支えないことorもの」が牧場内にないか、牧場内のスタッフ同士で考えてみるのもよいかもしれません。(もちろん、現状とくに問題がなく、休みも休憩時間もしっかりとれているところには必要ありません。余力があるのであれば、逆に「やった方がよいこと」を探すのもいいですね。)

作業面でいえば、ゼロにはできなくても回数を減らせるものはないでしょうか。例えば「朝、昼、夕と実施していたエサの掃き寄せを朝と夕に減らす」、「粗飼料は1日1回の給与にする」というようなことです。また、「センサーやカメラを利用して夜間の見回りをなくす」、さらには「添加剤の効能や成分を確認し、類似しているものがあれば種類を絞る」、「添加は1日1回にする」といった対策はどうでしょう。業務内容やエサのやり方は牧場によってさまざまですから、どれを無くせるのかはスタッフさんたちの知恵の絞りどころです。デバイスの導入や添加剤の種類を絞るなどの工夫で、牛を観察する時間や休む時間といった必要な時間を確保することができるのであれば、それはぜひとも実施すべき対策なのではないかと思います。
 
 
 
 
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