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藤﨑ひな子のコラム
クロストリジウム属②

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2022年11月11日

 最近、朝晩の冷えこみが一段と厳しくなり、ユニクロのウルトラライトダウンを診療用に買うか絶賛迷い中です。皆さんは外での活動中、どのような防寒対策をされていますでしょうか。

 前回のコラムではクロストリジウム属菌の概要と、クロストリジウム属菌によって引き起こされる疾病であるエンテロトキセミアとボツリヌス中毒についてお話ししました。今回はその続きをお話しします。

3. 気腫疽
 届出伝染病に指定されています。診断した獣医師はその都道府県知事に速やかに届け出なければなりません。Clostridium chauvoeiの経口または経皮感染による筋肉の出血およびガス壊疽を特徴とする急性致死性の感染症です。臨床症状は、突然の40~42℃の高熱から始まり、仙骨(骨盤にのっている背骨の延長の骨)付近、肩甲骨(肩の骨)付近、胸部、大腿部などの体表が腫れ上がります。腫れは急速に広がります。腫れあがったところを圧迫すると捻髪音が認められます(皮膚の下に緩衝材のプチプチがあるような感じです)。リンパ節が腫れあがり、筋肉に泡が蓄積されて、運動機能障害、疼痛、跛行がみられます。経過が早く、発病後24時間以内に死亡します。Clostridium chauvoeiをもっていたウシがストレスにさらされることで発病すると考えられているため、飼養管理を整えることは、感染する機会を少なくし、ストレスを少なくすることから、間接的に予防に役立ちます。

4. 悪性水腫
 ウェルシュ菌( Clostridium perfringens ) , Clostridium septicum , Clostridium novyi , Clostridium sordellii などの単独もしくは混合感染によって生じ、気腫疽に似た症状を呈する急性致死性の創傷感染症です。いわゆるケガなどの傷口から、これらの細菌が侵入して発症します(気腫疽は経口、経皮感染です)。感染した傷口が腫れあがり、熱感や疼痛を伴います。そして急に傷口がガスによって膨れ上がります。やがて皮膚は壊死し、傷口から血様の漿液がでます。食欲が減り、歩行困難となり横に寝そべることが多くなります。呼吸困難となって、心拍が弱まり、発病して1~4日以内に衰弱死します。創傷感染症ですので、傷を作らないようすることや、手術時に細菌による二次感染が起こらないようにすることが予防策となります。(ウシの手術は牛舎で行うことがありますからね(^-^;))

 次回のコラムで破傷風についてお話ししたいと思います。
 
 
 
 
今週の動画
【尿石症】尿検査してみました

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