足胞が破れない

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2022年11月2日

今回出くわした分娩中の母牛は、足胞が出て鼻先まで出ているのが見えているのに、足胞が破けずにいるという状態でした。

１次破水は終わり、胎子は産道にのって足胞が露出しているが、２次破水しないまま分娩が進んでいる状況です。たしかにこの状態でも２次破水していないのは珍しいかもしれません。母牛はウーウーないていましたが、胎子の頭が陰門を通るときに陣痛と努責がピークに達するためだと思います。この場合も、胎子が死んでいない限り異常ではないため、ひとまず焦る必要はありません。
胎子が生きているかどうかは、足胞の上から胎子の蹄の間をつまむか、舌をつまむことで確認できます。痛い！と手を引っ込めれば生きている証拠です。
胎子が産道にのり、１次破水も２次破水も終わって胎子が産出されるまで、平均で１時間ちょっとはかかります。じっと見ているとなかなか分娩が進まず、もどかしくなりますが、時間はかかっても大丈夫なのです。個体差で30分から４時間と幅もありますが、２時間以上超えると陣痛が弱くなるため介助が必要となります。
足胞破きたくなるね、と農場スタッフさんとお話していましたが、一度その場を離れている間に無事に娩出されていました。見られていると集中できないタイプだったのかもしれません。
分娩中や分娩後の母牛は殺気立っていることもあります。今回のような場合があっても無理に足胞は破きに行かず、じっと待ってみてください。
１次破水から１時間以上経っても２次破水がない、２次破水から１時間（未経産では２時間）経っても胎子が出てこない、という場合にはすぐ獣医師にお知らせください。
　
　
　
　
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