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笹崎直哉のコラム
呼吸器病の流行 ~アドバイス編 冬期の肺炎で気をつけたいウイルス~

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2022年11月1日

お疲れ様です。11月に突入しましたね。私事ですが、今月は10kmマラソンに出場する予定です。その準備と言ってはなんですが、10月は仕事終わりに自宅周辺を歩いたり、走ったりして粛々と体力作りをしていました。本番は応援してくれる方に喜んでもらいたくてコスプレして挑む予定です。しかし正直なところ完走できる自信が全くありません。練習で走ったりすると、一瞬で息が上がり、終わって家に帰ったらぐったり。あぁ、、、情けない。

ではコラムの続きです。私が肥育素牛に対して呼吸器病のワクチン接種を推奨する2つ目の根拠は牛RSウイルス(Bovine Respiratory Syncytial Virus)病が怖いからです。これは冬季に発生しやすいウイルス性の呼吸器疾患です。農家さんは「熱発、咳が広がってきたからアールエスかもね」とか「肺炎だ!おまけに熱が下がらん!アールエスが入ったかな?」など「アールエス」と省略して呼ぶことが多いです。

この病気の特徴は・・・
◎持続的な発熱、咳、鼻汁や泡沫排泄、呼吸促拍などの症状を示す
◎感染力が強いため、集団感染になることが多い
◎導入したばかりの肥育素牛だけでなく、肥育中期~後期のある程度抵抗力をもつ牛さんにも感染、発症するケースがある
◎ウイルス性なので抗生物質を打っても反応が悪い(RSウイルスと細菌、マイコプラズマなどの複合感染を危惧し、抗生物質を治療で使用するケースはあります)

このように、かなり厄介な病気であることに間違いありません。ただこの病気は幸いなことにワクチネーションと畜舎消毒によって発生を予防、低減できます。ワクチネーションのみでも十分効果があります。冬場はRSウイルスだけでなく、IBRウイルスなどの感染も怖いので、導入時のワクチネーションをしっかり行い、継続していくことをお勧めします。そうすれば牛群全体の抗体価を一定レベルにそろえることができ、結果として牧場全体の免疫力を上げることができますよ~。
 
 
 
 
今週の動画
Body condition score ( part 5 ) UV法について その5

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