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笹崎直哉のコラム
呼吸器病の流行 ~アドバイス編 今後の呼吸器病発生頭数を減らすために~

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2022年10月18日

先日戸田獣医師と潜在精巣の手術を行いました。皮膚縫合まで終え「よし!終わった!」と言いたいところだったのが、縫合部全体を覆うシールドを準備してなかったことに気がつきました。「う~ん、どうしよう」。そんなとき、運よくアイデアを思いつき

防水性の手術着の一部を長方形にチョキチョキ。辺縁に接着剤を付けて

そのままピタっと貼り付け

次回からはしっかりと事前準備しないといけませんね。反省です。

ではコラムの続きです。
今回、農家さんに提案したのが「農場導入時に呼吸器疾患を予防としたワクチンを接種すること」です。欲を言えば導入前からの接種ができれば理想です。ワクチネーションのタイミングは登山に行く前、装備品の準備をするときと一緒で環境が変わっても対応できるよう事前に実施することがポイントです。しかしそれがすべての農家さんで出来るのかというと現状非常に困難です。せめて肥育農場到着時に接種を完了し、その後の疾病発生率が低減するよう取り組んでいくことが重要です。
今や肥育農家さんで、導入時のワクチネーションはかなり浸透していますが、その一方でコスト等の問題で実施を控えている農家さんもいらっしゃるのではないかと考えています。ただそれでも私はワクチン接種を推奨します。その理由が大きく2つあります。
① 抗体価が低い個体がいるため
群でワクチネーションを実施する際に意識したいのが「牛群全体の抗体価を一定レベルにそろえる」ことです。多くの場合肥育農場に導入した牛さんは繁殖農場で一度は呼吸器疾患のワクチンを打っています(※地域によってワクチネーションの方法が異なるので一概には言えません)。ただ単回接種のみだった場合、抗体価が上がっていない可能性があるため導入時にもう一度ワクチンを接種し抗体価を上げておくことが重要です。それが結果的に牛群全体の免疫力向上、さらには農場全体の疾病発生率の低減につながっていくのです。

2つ目の根拠は次回紹介しますね~。

つづく

 
 
 
 
今週の動画
角損傷【鞘抜け】包帯を巻いてみました

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