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笹崎直哉のコラム
呼吸器病の流行 ~ヒアリング編~

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2022年10月13日

農家さん : 先生、少し前に導入(肥育素牛)した牛が餌食べないし、ボーっとしているから診察お願いします。20頭/マスだから今から捕まえて保定しておきますね。

私 : 承知しました。(診察後)熱、鼻水、咳をしていますね。治療します。
農家さん : 先生、追加で具合悪い牛を下さい。2頭います。
私 : かしこまりました。今から伺います。
農家さん : 先生、また追加で診察お願いします。片耳を下げて、元気ない牛がいます。
私 : 中耳炎かもしれないですね。今から行きますね。
農家さん : 先生、また新規で咳をする牛、、、

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肥育素牛導入牛で、その後呼吸器病が流行した場合どんな原因が考えられるでしょう。日最高気温と日最低気温の差やストレス(輸送、群編成)など、いろいろな原因が考えられますね。ただ、気候やストレス負荷に関してはなかなか解決できません。
今回のようなケースで、私はウイルスおよび細菌等(マイコプラズマも含め)の病原微生物とストレス等による免疫状態の変調が複雑に絡み合って発生するとされているBRDC(Bovine Respiratory Disease Complex : 牛の呼吸器症候群)に着眼点をおき、農家さんにとあることを尋ねました。

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私 : 治療牛が結構増えてきましたね。ちなみに少し前の話ですが、この牛さん達の導入時、何か予防処置されていましたか。
農家さん : 導入時はビタミン剤と抗生剤の注射と駆虫、あとは導入後、消毒は欠かさずやっています。ウォーターカップも綺麗にしています。
私 : 呼吸器病のワクチンは実施していますか。
農家さん : ワクチンはコスト削減のため、接種していません。

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いかがでしょう。病気が急に増えたり、今まで発生しなかった病気が出た場合、何か原因があるはずです。まずはそれを探り、農家さんはもちろんのこと関係者が改善に向けて動いていくことが重要です。
この続きは次回ご紹介しますね。
 
 
 
 
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角損傷【鞘抜け】包帯を巻いてみました

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