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蓮沼浩のコラム
第706話:血液検査について その4

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2022年9月27日

 世の中が大きくかわってきていることを日々肌身に感じます。気が付いたらあっという間に時代に取り残されてしまいます。もう少しゆっくり進んでくれるとありがたいのだけど・・・。やれやれ、まいったな・・・と思いながらも新しいことにチャレンジしながら、粛々とやるべきことをやっていくしかなさそうです。

 血液検査をはじめとする検査をするうえで一番重要なことは何でしょうか?いろいろ思い付くことはあると思うのですが、小生が一番重要だと思っていることがあります。それは何かといいますと・・・

 「実際に検査をすること」

 本当に何を言っているのか!!と怒られそうですが、とても重要なことだと小生はいつも思っています。

 現場で臨床の仕事をしていると、気になる症例にあたることがままあります。その時に、すぐに検査をすることができるか否か。ここは結構勝負どころです。

 たとえば、頭の中に「直腸検査で確認したほうがいいな」という思いが浮かぶときがあります。直腸検査手袋がすぐ身近にあれば速やかに検査をするのですが、遠くにあったりすると「たぶん大丈夫でしょう」と勝手に判断して検査をすぐに実施しない確率が高くなります。

 血液検査も同じです。牛さんの体温測定や聴診、触診などの一連の診察で診断がつかない時。何だろう??と考え、診断的治療を行うことも重要ですが、すぐに採血して検査を実施することはさらに大事なことだと思います。よく症例相談などをうけることもあるのですが、血液検査が実施されていない事例が非常に多いです。難しい症例と思った場合は速やかに血液検査を実施するということは、診療をするうえでのルーティーンと考えてもよいのではないでしょうか。もちろん意味のない検査を連発することはいけませんが、是非とも頭の片隅にいれておいてほしいですね。

 血液検査のデータがあることで、より正確な診断ができます。そして、問題ない点もはっきりとわかります。すべてわかるわけではもちろんありませんが、選択肢を絞ることができることは非常に診療を進めるうえでありがたいことです。

 しかしここで重要なポイントがあります。先ほどの直腸検査用手袋の話ではありませんが、すぐに検査ができる体制が整っていなければ、血液検査はどんどん後回しになってしまいます。

 簡単に血液検査を実施できる体制の構築は非常に重要なポイントになります。もしもすぐに血液検査を実施できる体制が構築されていない場合は、何とかして体制を構築する必要があります。

 そしてあとは先ほど述べたように「実際に検査をすること」が重要になります。小生もいろいろな検査キットを試してみました。

 しかし・・・・気になっても違うだろうと勝手に判断し、実際に検査を行わず検査キットの期限がきれてしまった事例も多々あります。まだまだいろいろな検査までのアクセスタイムを短くする工夫が必要ですね。

 気になるときは、出来る検査をしっかりと行う。人様の医療や小動物臨床の世界では当たり前の事のようですが、牛さんの臨床現場ではなかなか簡単にはできない意外と難しい問題です。

 
 
 
 
今週の動画
褥瘡【 pressure ulcer 】のケアをしてみました

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