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戸田克樹のコラム
第371話「いつ肺炎になるのか―哺乳期―」

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2022年9月26日

母子同居で子牛を管理されている場合、栄養たっぷりの母乳を飲んでいて子牛自身の栄養状態が非常によく、分娩室などで管理されるために他個体との接触機会がそれほど多くないこともあり、ひどい肺炎になったり、肺炎が広がったりすることはあまりありません。どちらかというと、ハッチ管理の方がひどい肺炎になるケースが多いような印象があります。もちろんそこにはマイコプラズマの感染もひとつの要因としてあるのでしょうが、哺乳期(ハッチ管理期)に重度の肺炎をもたらす要因のひとつは誤嚥です。

もし誤嚥してしまうと、ミルクがそのまま気管に入りこみます。そして、牛の気管の構造上、一度気管に入ったミルクは簡単に排泄されません。

ミルクは異物ですので、強い炎症反応が起こります。そしてそれが体に残っている間はずっと炎症反応が起こります。つまり「慢性肺炎or重症肺炎に移行しやすい」ということが誤嚥のやっかいなポイントです。こうなると、誤嚥は起こさないことが最も重要ということになります。誤嚥してしまうリスクとしては乳首の劣化、吸引時の角度、飲乳時の姿勢(伏臥位で飲ませるなど)といったものがあります。今一度、ミルクの飲ませ方や乳首の状態を改めて確認し、誤嚥が起こらないような管理を徹底していきましょう。

 
 
 
 
今週の動画
褥瘡【 pressure ulcer 】のケアをしてみました

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