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蓮沼浩のコラム
第704話:血液検査について その2

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2022年8月30日

 ここ数日急に気温が下がってきたので過ごしやすくなってきました。今度は寒暖差がでてくるので、これはこれで体調管理には十分注意が必要です。

 血液検査結果の判断は非常に重要です。ただ数値を見て、基準値より上か下かと判断するだけではいけません。その結果をさらに深堀りできるかが勝負となります。その数値の裏側にある病気の原因について、どこまで正確に迫ることができるかが非常に大切になります。

 例えば白血球数。

 とある牧場で繁殖牛が食欲廃絶。速やかに血液検査を実施すると、白血球数が23,000 / MCLとの結果が出ました。基準値を大きく上回っています。何かしらの感染症に罹患している可能性が非常に高いです。大事なのはここからです。非常に重要な疾病である牛伝染性リンパ腫なのか、否か。獣医さんは当然ここを突き詰めなくてはいけません。

 ・ 直腸検査および体表リンパ節の詳細な視診および触診の実施
 ・ 血液塗抹標本の作製
 ・ 抗体検査の実施

 ひとつの血液検査結果が出たら、それで満足するのではなくさらに深堀することが非常に重要なポイントとなる場合があります。

 残念ながら血液検査は完ぺきではありません。臨床症状が出ているのに、検査数値では異常がないことも多々あります。このような場合は他の原因を探らなくてはいけません。数値がおかしい時だけでなく、臨床症状に問題があるのに数値が正常な時は、絶えず「何故だ?」という意識をもって治療に取り組むことができればより良い診療ができると小生は確信しております。
 
 
 
 
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