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戸田克樹のコラム
第369話「いつ肺炎になるのかー導入―」

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2022年8月29日

肺炎は本当にやっかいな病気です。発見時に開口呼吸や強い努力性呼吸を呈していたり、口の周りに多量の泡沫をつけていたりするような状態であれば命が危ないことは明らかです。こうした場合、ある程度月齢が進んでいればすぐに出荷を検討した方がよいですから割とすぐに決着はつきます。しかし、月齢が若い場合や、肺炎だけど死ぬほどではない、といった場合が難しいのです。このような場合は治療を開始することになりますが、そもそも治療を行うにしても、肺炎は残念ながら完治が難しい疾病であるため、寛解(ある程度症状が落ち着き安定している)状態にいかに早くもちこむことができるかが勝負になります。治療は長期に渡る可能性が高いです。さらに、肺炎症状が重いうちは食欲もありませんから痩せる一方です。寛解状態に持ち込めたとしても、夏や冬には容体が急変する可能性もありますからいつまでも気が抜けません。診療費がかかるうえに肥育牛として良い成績を残せない可能性の方が高いという何とも厄介な疾病、それが肺炎なのです。

やはり、肺炎は治療よりも予防が大切です。そこで、今回からは牛がいつ肺炎になってしまうのかを考えてみました。その時期を意識した管理を行ってもらえれば、肺炎の発生を予防することができるかもしれません。以下に示すような5つの時期に潜む「肺炎になるリスク」をこれから紹介していきます。

① 分娩時
② 哺乳期(人工哺育)
③ 群管理期(離ハッチ、母子分離)
④ 飼料の切り替え期
⑤ 導入時期

ある程度月齢が進めば牛自身の免疫機能が発達しますので、肺炎に罹患するリスクは下がります。先に示した時期に潜む肺炎リスクとは何なのか、次回からひとつずつ抑えていくことにしましょう。
 
 
 
 
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