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池田哲平のコラム
牛の解剖95:腎臓(3)

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2012年4月6日

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 腎臓の外見は動物それぞれで特徴ある形をしていて、特にウシの腎臓は特徴的です。
多くの哺乳類の腎臓はそら豆に近い形をしていて、表面もツルっとして滑らかです(特に、ヒトとブタの腎臓は形も大きさも非常に似ていて、遺伝子を操作して移植に利用できないかという研究が盛んなようです)。
 しかし、ウシの腎臓は良く知られている形とは違い、表面に切れ込みがいくつもあってデコボコした形をしています。この切れ込みによってウシの腎臓はいくつかの小部屋に分けられているように見えるのですが、実際は完全に分けられているのではなく、すぐ下でつながっています。イメージで言うと・・・・・・私はパイナップルみたいな感じかなと思っています(難しい解剖学用語だと、“見かけ上の葉状腎”とか“多錐体性型腎”って言います)。パイナップルみたいにトゲトゲはしていませんが・・・。

 ちなみに、見た事はありませんが、ある種の海洋哺乳類(イルカなど)の腎臓はもっと特徴的で、ウシの腎臓にあったような切れ込みが腎臓を完全に細かく分けていて、ブドウの房のような構造をしているようです。

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