2012年3月30日 哺乳類では、腎臓はお腹の中で背中にくっつく様に位置しています。体の左右に一つずつ、合計2個あります。ところが、牛さんのお腹の左側には非常に巨大な第一胃(ルーメン)がどーんと居座ってるため、牛さんの左の腎臓はお腹の真ん中か、場合によっては右側に位置している時もあります。左腎はルーメンの膨満具合によって非常に広範囲に動くんです。なので、左腎は別名“遊走腎”とも呼ばれています。と畜や病理解剖のときにルーメンを取り去った場合は左側に戻ります。右の腎臓はお腹の中に固定されています。 左腎は広範囲に動きますが、必ず右の腎臓よりも尻尾に近い側に位置しています。なので、直腸検査によって触れる時が結構あります。とは言っても、腎臓の周りには分厚い脂肪がくっついているので、腎臓に直接触れることはできません。脂肪壊死症の時に、この腎臓にくっついている脂肪組織が変性・壊死・硬化してしまう時があるのですが、そういった時には腎臓にも影響が出て、腎機能が低下する時もあるので注意が必要です。 前の記事 牛の解剖93:腎臓(1) | 次の記事 牛の解剖95:腎臓(3) |