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藤田真千子のコラム
No.45 慢性下痢に対する胃汁投与

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2022年8月18日

先日、4月頃から便が緩く生菌剤を与え続けても治らないという育成牛(9か月齢)を診察しました。餌食いは良好ですが、群の中で一頭だけ弧を描く下痢をしていました(寄生虫卵-)。今回は経過が長いということで胃汁移植を実施することにしました。
しかし胃汁採取器(FHK)が壊れたのか、吸引できない…ということで、胃汁採取器なしで胃汁を採取しました。その方法についてもお話します。

①水を大量に飲ませ吐かせる “胃洗浄” の方法
1. まず、ぬるま湯を10L程度胃に流し込みます。
2. その後ホースを下に向ける。これで胃汁が流れ出てきます。顔は下を向かせた方が出やすいと思います。
10L弱入れましたが、採取できたのは1L程度でした。なかなか大変…(*_*)

②ホースに100mlシリンジを付けてチマチマ吸う方法
胃内にホースを入れてホースの先に100mlシリンジを付けて吸引し、地道に胃汁を採取します。
1回で約30~50mlずつ吸えると思います。チマチマと1L近く採取しました。

まあどちらの方法も時間がかかり労力は倍以上でした(;’∀’)。胃汁採取器を直すべきですね…。

今回の症例では250mlほどの胃汁を3日間飲ませてもらいました。初回の投与から4日後には軟便まで改善しました。今のところ慢性下痢に対する胃汁投与は手応えが良いです。胃汁投与の翌日に発熱することもありますが、すぐに落ち着くので心配不要です。また胃汁を数日に分けて与える場合、常温(体温くらいがベスト)で直射日光を避けて保存してください。
慢性下痢の子がいれば試してみてください☆
 
 
 
 
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