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笹崎直哉のコラム
肺炎

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2022年8月9日

本文:とある日の早朝「農場巡回していたら育成牛が死んでいた」との稟告をもらい、死亡原因を特定させるため解剖を行いました。死亡牛に関して剖検前に農家さんといろいろと話をしていたら肺炎で何度か治療をしていたことが分かりました。いざ胸腔内を精査していくと・・・

胸膜と肺組織の癒着、肺葉同士の癒着がみられ

肺全体の色調も悪く

気管は充出血、泡沫や膿も確認され

黄色の点線で囲んだ病巣を切開すると膿瘍で溢れていました。
以上の所見から化膿性肺炎と診断しました。おそらく死亡する前に診察していたら、聴診で肺野における雑音が目立ち(無気肺となり、肺音が聴こえ難くなってしまっているケースもありますが)、呼気膿臭といって吐く息が膿瘍臭になっていた可能があります。
私の肌感覚ですが肺炎は発見が難しい疾患のうちの一つではないかと思い、以下のように

全くエサに寄ってこないとか、下痢をしているとか分かりやすい症状をみせてくれればよいのですが、なかなかそうはいかない疾病なイメージです。

初期の段階で発見できればよいのですが発咳、呼吸が早くなった時点での発見だと手遅れなんてことがざらにあります。
そこで早期発見、早期治療を目指すうえでお勧めなのが「検温」です。非常に地味な作業ですが、少しでも気になる牛さんがいたら検温して数値化させることが結局一番いいのかな・・・というのが私の答えです。
まだまだ猛暑が続きますが牛さんのケア、体調管理等油断せず取り組んでいきましょう~。
 
 
 
 
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【臍ヘルニア】牛さんにコルセットしてみた

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