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笹崎直哉のコラム
やっぱり衛生管理は大事

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2022年7月28日

出張でいろいろな農家さんを伺うと、やはり「ここ最近はこんな病気が多い、久しぶりにこんな疾病が出た」と疾病に関する話で盛り上がります。
牛さんがもし私たちのようにお風呂に入れる、室内で休息できる、いつも衛生的なモノを食べれるなどの安定した衣食住を得られるなら、疾病発生率は極端に抑えられると思います。
しかし現状はどうでしょう。決してよい環境とは言えません。何かの拍子で病原体が農場に入り込み、牛さんの体内で増殖し、水平および垂直感染が成立してしまうリスクが付きまといます。
そうなるとやはり衛生管理が重要になってきますが、病原体は大半が肉眼でみることができません。よって粉塵、糞便、カビ、泥汚れなど目に見えるものから第一歩として抑えていく必要があります。
では皆さんの農場ではどんな対策をされていますでしょうか。
農場単位での話になりますが、一度病原体が農場に進入する要因に考えてみましょう。ここでは大きく3つに分けて考えます。
1つは自動車ですね。これは細霧消毒ゲートや消毒槽で対策されている方が多いです(まれに日々の点検を怠ってしまい、稼働していないケースを見受けられますが 汗)。
次は牛さんです。いろいろな地域から牛さんを導入したり、その頻度が高い場合は疾病発生率が上昇します。外部導入をパタッとやめられた農家さんや基本的に外部導入しないよという繁殖もしくは一貫経営の農家さんを考えると、疾病発生回数はあまり気になりません。
皆さんご存じのように外部導入後の対策としてはワクチネーション、ビタミン剤投与、駆虫などを実施する方が多いです。この一連の処置はウェルカムショット、ウェルカムドリンクなどと呼ばれ、浸透しているように思います。中には導入後はしばらく空間消毒をするよという方もいますね。
3つ目は我々人間です。繋ぎなどの衣服、長靴が主な標的になります。対策としては農場ごとにツナギを交換する、タイベックを着るであったり、長靴に関してはよく水洗し消毒するなどでしょうか。ただ長靴に関しては裏面を綺麗に洗浄するのが意外と大変です。この長靴の衛生管理に関しては私自身にも言えることで、より簡単、早く、衛生的にできないか普段から悩んでいるビッグテーマです。一方最近「お!いいなぁ!」と感心したことがあります。御覧のように

とある農場に自動の長靴洗浄機が置いてあったのです。実際に使ってみましたが、多角的に装着されたブラシのおかげか、あっという間に綺麗になりました。とても心地がいいものです。導入のきっかけは家畜市場で設置されていたことだったようです。
このように機械化でもどんな方法でも良いのですが、今後もっと衛生管理が見直されていくといいですね。人間の方では予防医学というアプローチで病気と向き合っていますが、畜産業界もそれに近しいものであって欲しいです。
 
 
 
 
今週の動画
【UV法】Body condition score ( part 1 ) UV法について その1

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