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前村達矢のコラム
骨折についてのお話

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2022年8月5日

今回は骨折について2つの種類の例をあげながらお話ししていきたいと思います

まずは1つ目の写真を御覧ください。

肥育牛の後ろ脚のアップの写真です。
中足骨の部分が不自然に折れ曲がって出血もあることが分かると思います。
これは「開放性骨折」といって、折れた骨が身体の外に出てしまう(写真のように、骨が飛び出ていなくても、外から触れられるようなものも指します)もので、予後がとても悪い骨折と言われています。
外界に露出した骨折部位から感染が起きて、骨髄炎を起こしてしまうんです。
実際この子も肥育牛で、固定も難しい上に感染のリスクと重症化の可能性が高いことから、出荷をするべきと判断しました。

2つ目は「非開放性骨折」と呼ばれる骨折についてです。
これは”開放性ではない”、つまり折れた骨が外界に露出していないタイプです。ほとんどの人が経験する骨折もこの類のものですね。
開放性と違って感染のリスクもなく、外固定等のみでも予後が良いケースが多いです。
ただ、牛さんの場合は月齢や骨折部位よっては固定が難しいケースもあり、廃用を余儀なくされてしまう事もあります。

最後に写真を御覧下さい。

これは生後1週間の頃に右の大腿骨が完全に折れてしまった子牛が、4.5ヶ月齢に成長した写真です。
骨折部位から固定は難しいと判断しましたが、「元気はあるしこのまま様子を見る」との農家さんの意向で育った子です。
健康な左脚への負重が大きい時間が長かった為沈み込んでいますが、右脚にもしっかり負重できるようになりました。
このまま無事大きくなってほしいですね。
 
 
 
 
今週の動画
【臍ヘルニア】牛さんにコルセットしてみた

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