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松本大策のコラム
夏場の食欲低下(修正しました)

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2022年7月25日

 しばらく梅雨の戻りの様な天気で、気温も少し落ち着いていましたが、またまた暑さが戻ってきましたね。異常気象も毎年になるとこれが普通なのでしょうかね。
 ニュースで言ってましたが、最高気温は50年前(僕は小学5年生!)に比べて4℃も上昇しているそうです。そういえば、子供の頃なんて真夏の昼間に平気で外で遊んでましたもんね。夏休み明けには日焼けを競う「クロンボ大会(今は差別用語かもしれないけど全く悪い意味ではなく使ってましたよね?)」なんてのもありました。今、真夏の真っ昼間に外で遊んでいたら、熱中症の危険が高いですよね。

 34℃程度でしたら、まだ哺乳類としても耐えられる気温ですが、4℃も高い(38℃)と、生命の危機を感じさせます。実際に、湿度100%であれば(これ、水だね、って意味じゃないです。その気温の時に水蒸気が飽和状態で含まれていると言うことですね)、30℃が生命維持の限界だと科学者が話していました。

 そんな夏場に食欲が低下するのは無理もないことですが、少しでも食欲を維持させるためにできることを考えてみましょう。

 まず思いつくのは、ビタミンAの投与でしょうか。未だにビタミンコントロールの信奉者は多いようですが、夏場は特にビタミンA欠乏の被害は重症化します。


(夏場にビタミンAが不足すると後足の膝の外側のけがはげたり、褥瘡ができたりするのでよく観察しましょう。)

 以前お話しした急性肺水腫などは死に至りますし、ビタミンA欠乏で第一胃の酸吸収能が低下すると第一胃の酸性過多(ルーメンアシドーシス)に陥ったあげく、第一胃内でエンドトキシンの発生が起こり、筋肉水腫や代謝性肝炎を起こす可能性が高くなります。また最近では但馬系の系統も増えていることから、元々酸の吸収能力は気高系よりも低いためルーメンアシドーシスを起こしやすく、ひいてはエンドトキシンの発生は起こりやすいためそれが原因で脂肪壊死症も増えてきています。
 こういうリスクがある上に、餌を食べないとサシどころか肉量まで落ちてしまいます。ビタミンAを必要なだけ与えるというのは、希いくでは大変重要なことです。

 さて、ビタミンAを与えるなら同時に、ビタミンAと協調して働いたり、ビタミンAを全身に輸送するタンパク質の材料となったりする「亜鉛」も一緒に与えてあげましょう。僕はゼノアックのドン八ヶ岳が使いやすいと思っています。

 それから、ビタミンAの前駆物質となるβカロテン(草の黄色い色素)も与えてあげた方が効果が上がります。βカロテンはビタミンAの材料となるだけでなく、独自に抗酸化作用などの働きを持つからです。僕は夏場には、チモシーやルーサンヘイなどの緑の粗飼料を週に一度500g~1kg、もしくは月に1週間500g/日与えてもらうことが多いです。

 それから肝臓や全身の細胞にエネルギーを供給して強化してくれるパントテン酸を与えるのも効果的です。僕は自分が設計したリカバリーMを100g×3日間添加をお勧めしています。
 
 
 
 
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