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前村達矢のコラム
肺水腫の予防策

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2022年7月22日

しばらく雨が続いたおかけで気温自体は落ち着いていましたが、今日あたりからまた一段と暑くなりそうですね^^;

こうも暑いと注意が必要なのがやはり夏場の肺水腫ですよね。特に肥育牛なんかでは、急に口から泡を吹いて苦しそうにするのが特徴的な症状です。この場合には、助けることは出来ないと判断し即出荷をするべきですが、今回は元々肺炎持ちの牛さんでリスクが高いから予防したいという場合や、育成牛で出荷するというわけにもいかない場合などにどのように対応するべきかについてお話したいと思います。

早速ですが、まず何をしてあげるべきかについて述べるとずばり”隔離飼育“です。

皆さんよくご存じのように牛さん同士って良くも悪くも結構コンタクトをとってますよね(笑)一人だったらゆっくりしてたはずの時間でも、同居牛にちょっかいを出されて動かざるを得ない時が結構あるんです。特に肺炎持ちの子はその運動だけでも肺や心臓への負荷は大きいので、隔離して安静に過ごすというのは有効な予防策だと考えています。
また、育成牛など群管理をしている場合には、群編成ストレスやその後の競争などによって弱い子は肺炎を発症しているケースが多く、頭数が多ければ多いほどかかる運動負荷は大きいと思われます。
なのでこの季節は特に、元々肺炎持ちの子や群内の弱い子の呼吸を観察し、泡が出てたり肺水腫が疑われる場合にはまず隔離をするということを是非検討してみてください。

無事隔離し運動制限が出来たあとには、
肺の炎症を抑えるためにデキサメタゾンなどの抗炎症剤や抗生剤の投与(炎症がひどい場合にはデキサを初日10mlから始めて、8ml、6ml、4ml、、と徐々に減らすやり方を推奨しています)や、ビタミンAや亜鉛の補充(肺に水分が漏れることや、ルーメンにおける肺水腫の原因物質の発生を防ぐ働きを持ちます)、生菌剤投与(ビタミン投与と同じ理由で、ルーメン環境の悪化を防ぐ為です)などをしてあげるとより良いと思います。

まだまだこれから暑くなりそうなので、体調には気を付けて頑張りましょう。
 
 
 
 
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