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藤田真千子のコラム
No.43 おへそが何か変

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2022年7月21日

写真のように、おへその先端に肉芽がついている症例に最近何例か遭遇しました。
何だろうな~とネットで調べてみると、どうやらヒトの方でも同じような疾患がありました。

「臍肉芽腫(さいにくげしゅ)」
新生児の臍帯が脱落する際に臍底に臍帯の組織の一部が残り、臍の中心部に赤色の肉芽腫が生じることがあるそうです。臍肉芽腫があると、臍がジクジクと乾燥せず、細菌感染や出血を起こすこともあります。 
他にも、腸管の組織由来の「臍ポリープ」や「尿膜管遺残」によってもこのような症状がおこりますが、ほとんどは臍肉芽腫のようです。臍肉芽腫の場合、結紮、硝酸銀焼灼、ステロイド剤の塗布などにより治療が行われています。臍ポリープや尿膜管遺残は手術が必要となります。

牛でもおそらく臍肉芽腫と同じような症状なのだと考えています。このままじゃセリに出せないよ~ということで、切除をおこないました。放置した場合どうなるのかわかりませんが、感染のリスクもあるので切除するのが無難でしょうか。おへその深部触診をおこない上行感染していないか確認後、ねじり切るか付着面が大きいものははさみで切除します。ひもで縛った場合、糸目から少し感染してしまったので、切除してしまうのが良いと思います。
予防としては生まれた直後のおへその処置をきちんとおこなうことかなと思います。(根元から臍を指2本で挟んでしごき、血液や漿液を除去します。その後イソジン等でしっかり消毒します。)

調べてみると人間の 赤ちゃんにも子牛と同じように臍ヘルニアや臍帯炎といった疾患があり、始めは一緒なんだな…と和みました。 
 
 
 
 
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