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加地永理奈のコラム
ヨーネ病の検査を見学しました

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2022年7月13日

家畜保健衛生所の方が定期的に行っている農場でのヨーネ病検査の現場に遭遇したので、見学させていただきました。
ヨーネ病は、ヨーネ菌(Mycobacterium avium subsp. paratuberculosis)の感染によって起こる難治性の慢性下痢で、法定伝染病に指定されています。保菌牛の糞便等から経口感染すると、数か月から数年の潜伏期間を経て発症し、持続性の下痢、急激な削痩、乳量の低下を呈して、やがて衰弱死してしまいます。
日本ではヨーネ病清浄国を目指して、少なくとも5年に1度の定期的な検査が行われていますが、現在も年間数百頭から千頭近い感染が発見されています。

今回見学したのは、ヨーネ病検査の1つ「ヨーニン検査」です。
方法は、ヨーネ菌の死菌濃縮液(ヨーニン)を尾根部に皮内注射します。ヨーネ病に罹患した牛だと、ヨーネ菌に対する抗体を持っているため、遅延型過敏反応がおき、48~72時間後に注射部を確認すると腫脹がみられます。注射前より2mm以上の腫脹があるとヨーネ病陽性の可能性があると言えます。ただこの検査方法では、ヨーネ菌と近い性質をもつ他の菌(抗酸菌というグループ)にも反応してしまうため、ヨーネ病という確定ができません。糞便を持ち帰り、さらに検査が実施されます。


(写真 青矢印が腫脹部)

現在ヨーネ病に対する有効なワクチンや治療法はありません。保菌牛を摘発し、まわりに広げないことが今できる対策です。
ヨーネ病の他、家畜伝染病の発生状況は農林水産省のホームページから確認できます。
https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/kansi_densen/
kansi_densen.html

 
 
 
 
今週の動画
BCS 肉用牛のBCSについて

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