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蓮沼浩のコラム
第700話:リスク検証

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2022年7月5日

 最近忙しすぎて「フナ釣り」にいけていません。このような時こそ、意識して時間をつくって行かなくてはいけないと思っています。やりたいことをやる。大事なことだと思います。

 6月に農林水産省から「食料の安定供給に関するリスク検証(2022)」が公表されました。日本は様々なものを輸入に頼っています。その中でも食料は最重要項目です。報告書をよんでいると、どれも首肯する内容ばかり。そのなかでも大きな割合を占めているのが「価格高騰のリスク」になります。

 飼料穀物、燃油、肥料はどれも重要なリスクとなっています。令和4年7~9月の配合飼料価格も全農の発表ではトン当たり11400円の値上げとなっています。過去最大の上げ幅だそうです。今年は1~3月が2900円、4~6月が4350円の値上げですので、すでに合計で18650円上がっています。昨年は1年間で12750円の値上げですから、トン当たり30000円以上昨年から配合飼料価格は上がっていることになります。キロ当たりにして30円以上の値上げは強烈です。もちろん、粗飼料も高いです。

 しかし、この中でも特に小生が気にしているのが肥料価格。肥料はすべての農産物の基礎となります。配合飼料の原料となる穀物や粗飼料にとっても非常に大切なものとなります。この肥料がどれも爆上げとなり、塩化カリウムなど昨年1月の5倍近くになっているとのこと。また、肥料争奪戦も激化しているとのこと。入手が非常に難しくなってきているとの話もあります。今後さらなる影響が広がることは必至であると考えています。

 これらのリスク以外のリスクとしては「労働力・後継者不足のリスク」、「関係人材・施設の減少リスク」、「温暖化や高温化のリスク」、「家畜伝染病のリスク」があります。どれも本当に、心の底からよくわかるリスクです。

 獣医師としては「家畜伝染病のリスク」に対する対応が重要になります。高病原性鳥インフルエンザ、アフリカ豚熱、豚熱、口蹄疫が超重要になりますが、牛さんの獣医師としては牛伝染性リンパ腫、牛ウイルス性下痢症(BVD-MD)、牛のサルモネラ症、牛のマイコプラズマ症、牛RSウイルス症などが非常に重要な疾病であると考えているので、農家さんと協力しながら取り組み、出来るところから少しでも良くしていくようにしていかなくてはいけないと考えています。

 リスクをしっかりと把握したうえで、自分たちは何ができるのか?

 「牛歩」でもよいから、勇気を出して自分達が出来ることに粛々と取り組んでいくことがこれからますます重要になってくると考えています。
 
 
 
 
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