2022年7月4日 「これは静注できるでしょ!」という見た目をした薬でも必ず説明書を読むようにしてください。もしかしてその薬剤、「筋注」って書いてありませんか? 基本的には生理食塩水で溶かす薬は静注できるものばかりです。セファゾリン、結晶ペニシリン、インタゲン、ホスミシン、など、弊社で使用している粉もの(生理食塩水で溶かして投与する薬剤のことを私はこう呼んでいます)は静脈注射での投与ができます。というよりも、結晶ペニシリンやインタゲン、アンピシリン、ホスミシンなどは投与方法に静注としか記載がされていません。 こうしてみると、一見、「生理食塩水で溶かす薬は全部静脈注射できるな」と思えてきます。 しかし、すべての事柄に例外があるように、「粉もの」にも例外は存在しました。 それがエクセネル注です。これは生理食塩水で溶かす抗生剤なのですが投与方法には「筋注」としか記載されていません。 つまり、粉ものであり、溶かしたあともサラサラで透明度が高いにも関わらず、エクセネル注は筋注での投与が指示されているのです。静注での投与は指示されていないので注意が必要です。 見た目とは裏腹な薬剤は他にもあります。エンドコール注はさらさらした液体ですが、筋注薬です。 それとは逆に、OTC注はどろどろした見た目ですが静注が可能です(筋注、皮下注ももちろんできます)。見た目だけで判断すると間違いを犯す危険がありますので、薬剤を牛に投与する際は必ず「投与方法」までぜひとも確認するようにしてください。ちなみに、溶かす薬剤は一度溶かすと効能が徐々に落ちてきますので、基本的には溶解後、すみやかに使用するようにしてください。 前の記事 第365話「耳を忘れないで」 | 次の記事 第367話「定期的な薬庫の見直し」 |