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松本大策のコラム
「脂肪壊死症についてちょっと考えていることその2」

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2007年10月1日


 原因としては、但馬系の遺伝的な脂肪代謝異常が関係しているとか、麦系の飼料を多給すると脂肪が飽和化といって硬い脂肪になるから、それで脂肪組織が傷んで発生の引き金になる、とか言われています。
 僕はこのほかに、牛さんに化膿症(たとえば顎などに出来やすいアブセス(膿瘍)や角が折れて化膿している場合など)がある場合、急速に脂肪壊死が進行する症例を何例も経験しています。それから、牛さんが急速に痩せていく時、たとえば産前・産後のストレスや産乳の消耗、増し飼いの不足などで母牛が急速に痩せた場合には脂肪壊死の発生が増加します。これは体脂肪の動員でエネルギーをまかなおうとするため、脂肪動員の際のホルモンや酵素のバランスが崩れるのではないかと考えています。また、以前脂肪壊死の多発農場と非発生農場を比較した時に、多発農場では血液中の過酸化脂質という脂肪を酸化させる物質が多かったので(1軒どうしの比較なので断定は出来ませんが)脂肪の酸化障害も原因の一つ否のではないかと考えています。
 治療方法は、一般的には鳩麦エキスやイソプロチオラン(製品名:フジックス)という脂肪代謝改善剤を使いながら、カロリーを抑えていくやり方が一般的です。 
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