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加地永理奈のコラム
ショックとは③

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2022年6月22日

3.血液分布異常性ショック
心臓から送り出された血液の通り道である血管に問題が発生して起こるショックです。様々な要因により、血管が広く拡張して血圧が急激に低下してしまうことで、必要な場所まで血液を送ることができず、ショック状態になります。その血管拡張を引き起こす要因を3つにわけてお話しします。

① 敗血症性ショック
細菌感染が悪化し、体中で強い炎症反応が起きる状態を敗血症といいます。大腸菌を代表とするグラム陰性桿菌には内毒素(エンドトキシン)が含まれていて、これが炎症反応を強く引き起こすために、血管が拡張しショックに陥ります。また炎症反応が起きている血管では、血管外の組織へ血液が滲み出やすい状態(血管透過性亢進)にもなっているため、循環血液量も減少してショックを助長します。この場合の処置には、抗生物質の投与が必要となります。

② アナフィラキシーショック
薬剤や昆虫毒、輸血などが原因となり、過度のアレルギー反応が起こるとショック状態となります。①の炎症反応と同様に、血管が拡張し、血管透過性も亢進することで起こります。ただし、①よりも血管透過性の亢進が強く生じてしまうため、全身に浮腫が生じます。気道に浮腫が生じてしまうと呼吸困難になってしまうため、血圧上昇と気管支拡張の効果があるアドレナリン製剤を速やかに投与する必要があります。

③ 神経原性ショック
神経反射によってもショックは起こります。激痛により迷走神経が刺激されること、脳脊髄の外傷により血管運動中枢が抑制されることなどにより、血管を収縮することができず、血管が拡張、血圧が低下しショックとなります。この場合のショックは一過性であることが多いです。

以上、ショックについて
1,心臓にかえってくる血液に問題がある場合、2,心臓に問題がある場合、3,心臓から血液が送り出された先の血管に問題がある場合、の3つにわけてお話ししました。
 
 
 
 
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