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前村達矢のコラム
断乳についてのお話

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2022年6月17日

子牛が下痢をしたときの対処法として”断乳”をする方は結構いらっしゃると思います。しかし、断乳しよう!と判断するときの子牛の状態やその具体的な方法は農家さんによって実に様々だなあと感じているので、今回はそのあたりをお話しようと思います。

子牛が下痢をしたときには、断乳をしようかなどうしようかなと悩むところから始まりますよね(あまりしないという方もいれば、ほぼほぼ行うという方もいらっしゃると思いますが)。なのでまずは、子牛がどういう状態の時に断乳がオススメかについてです。
結論からいうと、
① 消化不良の疑いのある下痢をしている場合
状況としては、与えるミルクの量が多い、あるいは濃度が濃い場合や、ミルクの種類を変更した場合などに見られます。症状は、熱はないけど下痢が続いたり、お腹を揺らすとチャポチャポと聞こえたり、脱水していたり、どんよりと元気がない、などのケースが多いように感じています。

② 子牛が元気で体力がある場合
断乳のデメリットとしては、栄養不足から起こる筋肉や脂肪、消化酵素などの分解、それによっておこる免疫低下や衰弱があげられます(つまりは、子牛が自分で回復する力が弱まってしまう、ということですね)。このデメリットを防ぐためにも元気のあるときに、というのは重要です。ちなみに、寒さによるエネルギー消費が激しい冬より暖かい季節の方が好ましいですね。

③ 輸血や点滴などでの栄養補給が可能な場合
これは、獣医さんにお願いできるケースかつ力技のお話になってしまうので、簡単に。
輸血については、1回でミルク6L分程度のエネルギー補給が可能と考えています。子牛の元気はあまりないけど、胃腸のダメージも大きそう(ガスが張っていたり、背中を丸めてお腹を痛そうにしたり、、)だから、断乳でお腹を休ませたいときには有効です。抗生剤の効かないウイルス性の下痢にも、抗体が含まれる可能性の高い輸血は良いですしね。

長くなってきたので今回はここまで。次回は具体的な方法などについてお話していきたいと思います。
 
 
 
 
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Wagyu 和牛

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