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笹崎直哉のコラム
再検査の重要性 その9~繁殖成績改善を目的とした血液検査~

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2022年6月14日

久しぶりに体重計にのったら60.4kgと表示されました。残念ながら半年で5kg太ってしまいました。情けないのですが「脂肪太りではない!筋肉太りだ!」と現実逃避。30歳に突入し、代謝が落ちかけている現状を受け止めなければなりません。

さてこちらのシリーズ最終回です。
今回は血液検査結果に基づいて、農家さんにどんな提案をしたのかを紹介します。

① ビタミンAについて
分娩前1ヵ月のタイミングでビタミンAの注射(ビタミンAとして250万単位)とベータブリードSP(日本全薬工業)を日量50g/ 日×60日の飼料添加を提案しました。
さらに粗飼料の給与内容も変更しました。理由としては当時輸入イナワラとバミューダ主体だったのですが、それだけではβカロテンが不足してしまい、結果としてβカロテンからのビタミンA給与量が追い付いていかないのではないかと考えたためです。農家さんと相談し、最終的にチモシー(アルファルファヘイキューブでも良かったのですが)を導入することになりました。分娩前2ヵ月~分娩後1ヵ月の期間は輸入イナワラ4kg/ 日とチモシー2kg/ 日を給与するよう提案しました。

② 総コレステロール値と過肥について
検査結果から総コレステロール値が比較的高値であることが分かりました。こちらの牧場の配合飼料の給与量は妊娠維持期:1.5kg/ 日、分娩前2ヵ月~分娩後受胎するまで(妊娠維持に入るまで):3kg/ 日でした。
一方母子分離のタイミングが分娩後1週間と早期だったので、自然哺育と比較して産乳によるエネルギーロスが少ないと考えていたのと、粗飼料を考えたときチモシーが入ることで栄養価が上昇する可能性を危惧していました。そこで母子分離のタイミングで配合飼料の減量をスタートしましょうと提案しました。注意点としては急激な減量をしないということです。よって農家さんにはゆっくりと減量するようお願いしました。

③ 繁殖成績はどう変動したか
提案後1年が経過した時点で繁殖成績をみてみました。
(2019年4月→2020年4月)
・分娩間隔:367日→362日
・分娩後初回授精日数:58日→52日

分娩間隔は数値をリアルタイムで追うことが難しいのですが、改善したのが初回授精日数ですね。その後、現在に至るまで無事年1産達成し続けています。今回の経験からいかに血液検査が重要であるかを改めて実感しました。
 
 
 
 
今週の動画
【1:28】牛のあっかんべ~!? stick out tongue of cattle

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