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松本大策のコラム
SDGsってきれいごとじゃないんだろ!

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2022年6月6日

 今日の松本、少し、いや心から怒っています。
テレビをつけてもなにかと言うと「SDGs(持続可能な開発目標)」という言葉を耳にします。
たいていのケースでは、庶民レベルでは、食べ物を無駄にしないとか、衣服を大切にするとか、企業のCMでは「クボタはやります!」とか、「トヨタはゼロエミッションを目指して」とか、一生懸命訴えてますが、僕にはどれもこれも耳障りというかきれいごとにしか聞こえないのは僕がひねくれてるからでしょうか?

 ま、それもあるでしょう。

 しかし、つねづね牛さんと関わり、その命と死に触れながら時には「今すぐ出荷すればきちんとしたお肉にできる!!」というのに、土日祝日は食肉検査場が開いていない。北海道なんか、午前中に急患受付したものは午後から、午後に受付したものでは翌日の午前しか屠畜しない。
 これからの季節に増える「迅急性肺水腫」や尿道結石による尿閉などは、すぐに屠畜すれば全く問題にもならず、きちんと食肉として供給できるのです。これらの疾病にかかる牛たちは、肥育後期から出荷前であることも多く、エサだけでも5t以上消費しているのです。

 きちんと処理していただければ、ちゃんとそれに応えたお肉になるのに、食肉処理場が開いていない、ということで5t以上の穀物と、農家さんの努力が無駄になるだけでなく、その牛さんもムダ死にになってしまう。
 畜産自体がムダという意見もあるでしょう。ではなぜ政府は、金を出してまで頭数を増やさせるのか?適正頭数にするための農家支援や、計画立案はなぜやらないのか?

 図は、2020年8月の畜産の情報に載っていたものです。

 この情報が出るずっと前から、食肉処理場の実情は今と変わりません。
 世の中をよくするためのSDGsならば、是非ともゴールの食肉処理までもきちんと改善してほしい

 今僕が腹を立てているのは、そういうことです。

 
 
 
 
今週の動画
オモテ(頭絡)を長期間装着 化膿したケース

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