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松本大策のコラム
「この時期注意!恐怖の肺水腫(後編)」

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2007年9月10日


 ではいったいどうしたらよいのでしょうか?まず、発症している(泡を吹いている、呼吸が速くて苦しそう、運動不耐性など)牛さんは、なるべく早く出荷の手続きをしてあげる。かわいそうですが、死なせては元も子もありません。出荷の時はなるべく無理に動かさないようにしましょう。肺水腫で呼吸できるところが少なくなっている時に、過剰な運動をさせると、生き残っている健康な肺の部分が、がんばりすぎて空気をため込みすぎて逆にパンパンで肺のガス交換が出来ない「肺気腫」という状態になり、さらに牛さんは呼吸困難に陥ってしまうからです。
 次に、予防策として、やはりビタミンAの不足は補っておく、カルシウムが不足した牛群で多発するので、ドン八ヶ岳やウルカルのようなカルシウム剤を与えておく、全身の細胞が疲れている(酵素の産生や活性が低下して、老廃物の処理などがうまくいかなくなっている)ので、レバチオニンやパンカル、エムリングなどの細胞賦活剤を与える、などを実施しておくと良いと思います。日々の観察で、動作が緩慢な牛さん、食欲が低下している牛さん、目つきがおかしい牛さん、運動を嫌う牛さん、などを見落とさないようにしましょう。
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