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蓮沼浩のコラム
第696話:迷走する戦略 その4

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2022年5月10日

 出張がこのところ多いです。このコラムも福岡空港で書いています。隙間時間をとにかく有効に活用していきたいですね!

 ここ数年、本当に畜産業をとりまく環境は激変してきていると感じます。やはり注目は培養肉と代替肉の広がり。多くの大学などの研究機関やベンチャー企業が商品開発に鎬を削っています。その勢いは非常に強いと感じます。将来的にこれらの「肉」が世界でシェアを広げていく事は間違いなさそうです。ちなみに「牛乳」も培養できる技術が構築されているとも聞きます。本当に科学の進歩はすさまじいです。

 このように科学技術が進歩していく中で、小生が現在の畜産業で非常に大きな問題であると考えていることが「飼料価格」と「伝染病」になります。もちろん「環境問題」などもあるのですが、喫緊の課題としてこの二つが大きな影響を与えると考えています。

 先日飼料メーカーの社長さんとお話する機会があったのですが、やはり飼料価格の高騰は尋常ではないと判断されています。

 「いや、先生ね、これまで3~4メートルの津波がきとると思うとったんですが、先には10メートルの津波が来とるんが見えとるんですよ、ホンマ!!」

 今後配合飼料価格のさらなる高騰という津波が押し寄せてくることは避けることが出来そうもありません。日本政府と日銀は果たしてこの「悪性のインフレーション」を抑えられるのでしょうか・・・

 それとも・・・なすすべなくて放置??

 そして伝染病。一番問題なのが養鶏の「鳥インフルエンザ」と養豚の「ASF」や「CSF」。ここ数年、世界中でものすごい数の被害を出しています。もちろん日本も例外ではありません。

 なかなか厳しい現実があります。このような中でどのような戦略を立て実行していくのか・・・。

 小生の愛読書のひとつに「戦艦大和ノ最後(吉田満著)」という本があります。格調高い文語体で書かれています。なんだか今の和牛業界は日本の戦艦大和のようにも感じます。
 天一号作戦を遂行中です。臨床獣医師として最後までしっかりとやるべき任務を粛々と行いたいと思います。

 なんだか暗い話になってしまいスミマセン!!!

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